慢性片頭痛予防薬「エムガルティ」につきまして

エムガルティ(一般名:ガルカネズマブ)が4月26日発売になりました。
CGRPを抑制する薬理機序としては国内初の片頭痛の予防薬になります。

希望される方は御予約が必要です。
診療時間内にお電話(011-818-0055)で御連絡ください。

追記:2022年5月1日より、在宅自己注射の保険適用となりました。
   オンライン診療と組み合わせて使用することも可能ですので、御検討下さい。

対象

片頭痛と診断されて当院に3ヵ月以上通院されていること。

 (初診の方にはエムガルティの接種は行っておりません

・二次性頭痛(くも膜下出血・脳腫瘍等の頭痛)との鑑別がされていること。

・18才以上であること。

・3ヵ月以上における1ヵ月あたりの片頭痛発作の平均日数4日以上の方。

・他の片頭痛予防薬(プロプラノロール塩酸塩:インデラル、バルプロ酸ナトリウム:デパケン、ロメリジン塩酸塩等:ミグシス、アミトリプチリン:トリプタノール)や非薬物療法(睡眠・生活習慣改善等)を行っても日常生活に支障を来している方

・妊娠・授乳中については安全性が確定していないため当院では使用しません

= 新薬であり安全性を担保するため、当院では以下の要件を追加とします =

・1年以内に頭部MRI・MRAを施行していること。

・6ヵ月以内に血液検査を行っていること。

・頭痛ダイアリーをつけていること(3ヵ月以上)。

上記、対象に合致しており、ご本人が治療を望む場合
(下記費用についても御確認の上、治療については医師と相談)

片頭痛の病態におけるCGRPの役割

カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は、三叉神経節や硬膜上の三叉神経末梢に存在する神経ペプチドであり、過剰に発現すると血管拡張作用や神経原性炎症を介して、片頭痛発作を引き起こします(三叉神経血管説)

エムガルティの作用機序

エムガルティはCGRPに選択性と親和性を有し、その活性を阻害しました。

実際の注射について

・初回は2本注射、翌月から月に1本注射します。

・接種は大腿部、上腕部、腹部、臀部のいずれかの部位に皮下注射します。

・食事制限などはありません。肌を出しやすい服装で来院して下さい。

・投与3ヵ月後(3回目投与後)に本剤の有効性を確認して継続するか否かを判断します。

・症例によりますが、投与6ヵ月後には本剤の投与を一時中止して症状の悪化があるか確認します。

費用について

・保険適応です。

・初回は2本使用し、2回目以降は1本ずつ使用。

3割負担の場合、薬代だけで1本あたり13,550円(薬価45,165円)で、他、再診料や注射処置料などがかかります。(初回は薬代のみで3割負担 27,100円です。)

副作用について

・注射部位疼痛10.1%、腫れ14.9%

・めまい、便秘、蕁麻疹:いずれも1%未満

関連する臨床試験

反復性片頭痛患者を対象とした海外第Ⅲ相試験(CGAH試験)において、二重盲検投与期における1ヵ月あたりの片頭痛日数のベースラインからの変化量の6ヵ月平均値がプラセボに比して有意に減少していました。

6カ月間のエムガルティの使用で、慢性的な片頭痛が

50%減:59.3%、75%減:33.5%、100%減:11.5% と良好な結果でした(上図)。

多数の頭痛治療薬を服用しても、生活に支障がある方の治療に期待しています。

2021/08/24 追加 100%反応率の推移

徐々に100%反応率が上昇する

徐々に無効率が減っていく

 

追記:2022年3月10日 エムガルティの使用にあたって分かりやすい動画が提供されました。

 参考文献:Rosen N, et al. 100% Response Rate to Galcanezumab in Patients With Episodic Migraine: A Post Hoc Analysis of the Results From Phase 3, Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled EVOLVE-1 and EVOLVE-2 Studies. Headache. 2018 Oct;58(9):1347-1357

One comment to “慢性片頭痛予防薬「エムガルティ」につきまして”
  1. Pingback: 新しい片頭痛治療薬:レイボー錠(セロトニン1F受容体作働薬) – 平岸脳神経クリニック.info

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